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title: 実名の導入事例が出せないとき、モデルケースで代わりにする
description: B2Bサイトで導入事例を作りたいが顧客名が出せない。そんなときの「モデルケース」の書き方を整理しました。輪郭の出し方、越えてはいけない線、実名事例へ切り替える設計まで。自社が同じ状況にあることも正直に書いています。
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# 実名の導入事例が出せないとき、モデルケースで代わりにする

2026年09月25日配信

サイトを作っていると、必ずこの相談にぶつかります。

「導入事例のページを作りたいんですが、お客さまの名前が出せないんです」

B2Bのサイトで導入事例が効くことは、みんな知っています。それでも実名で出せる会社は限られます。今日は、実名が出せない状態でどうするかという話です。

## 実名が出せない理由は、だいたい3つに分かれる

**契約で禁じられている。**取引そのものを外部に開示しない契約になっている場合です。この場合は交渉の余地がありません。

**許諾を取る手間が重い。**担当者は良いと言っても、広報や法務のチェックが入り、数ヶ月かかる。途中で担当者が異動して振り出しに戻る。よくある話です。

**顧客側が知られたくない。**外注していること自体を伏せたい業務があります。制作や開発の下請け構造ではよくあります。

1つ目は諦めるしかありませんが、2つ目と3つ目は「今は無理」であって「永久に無理」ではありません。ここを混ぜないことが大事です。

## 買い手が事例で見ているもの

そもそも、なぜ事例が読まれるのか。ロゴを見て安心したいから、ではありません。**自分の会社と似た状況の会社が、どう困って、何をして、どうなったかを知りたい**からです。

つまり読み手が探しているのは「社名」ではなく「自分との近さ」です。業種、規模、体制、困りごとの種類。この4つが自社と近ければ、社名が伏せてあっても読む価値は残ります。

逆に、有名企業のロゴが並んでいても、規模がまったく違えば「うちとは違う世界の話だ」で終わります。ロゴの威力は、実は思われているほど万能ではありません。

## モデルケースという書き方

そこで使うのが、実際にあった案件をもとにしながら、会社を特定できない形にまとめたページです。私はこれを「モデルケース」と呼んでいます。

書き方はこうです。

**社名は出さず、輪郭は出す。**「化粧品を扱うEC事業者、社員30名規模、マーケ専任なし」まで書きます。ここを曖昧にすると急に価値がなくなります。読み手は輪郭で自分との距離を測っているからです。

**困りごとは、相手が言った言葉に近づける。**「課題は集客力の不足でした」ではなく「問い合わせは来るが、追いかけきれずに消えていた」と書く。実際に聞いた言い方に寄せるほど、同じ状況の人に刺さります。

**やったことは順番で書く。**何を最初にやって、次に何をしたか。結果よりも順番のほうが読者の役に立ちます。結果は相手の事情に左右されますが、順番は再現できるからです。

**数字は、出せる範囲だけ。**出せないなら無理に入れません。「問い合わせが3倍」のような数字がないと事例が成立しないと思われがちですが、実際には順番と判断の中身のほうがよく読まれます。

## 越えてはいけない線

ひとつだけ、はっきりした線があります。**実際にはない案件を、あったように書かないこと**です。

モデルケースは「実話を匿名にしたもの」です。「それらしく作った架空の話」ではありません。この2つは書き上がりが似ているので、境界が曖昧になりやすい。

危ないのは、複数の案件を1本にまとめるときです。事実としては別々に起きたことを1社の物語にすると、読者は1つの案件だと受け取ります。混ぜるなら「複数の案件で共通していたこと」という形にして、1社の物語にはしません。

ページの下に「守秘のため業種と詳細を一般化しています」と1行入れておくのも有効です。読者に対して誠実ですし、書く側の歯止めにもなります。

## 実名に切り替える設計を先に入れておく

モデルケースは代替であって、目標ではありません。実名の事例が1本でも出れば、そちらのほうが強い。だから、実名化への道を最初から用意しておきます。

一番効くのは、**事例掲載の許諾を、契約のタイミングで取っておくこと**です。納品後に「事例に出させてください」とお願いすると、相手には得のない追加のお願いになります。契約時なら、条件のひとつとして自然に相談できます。

もうひとつ、許諾を取りやすくする方法があります。事例の原稿を先にこちらで書いて、完成品を見せて確認してもらうことです。「取材させてください」は相手の時間を要求しますが、「これで出してよいか見てください」なら5分で済みます。

## 正直に書くと、私も今これをやっている

ここまで書いておいて自分の話をしないのはフェアではないので、書いておきます。

コビトロジックは、直接お受けした案件の実名事例をまだ公開していません。会社員時代から数えれば実務の量はありますが、それは前職や協業先での仕事で、自分の名前で出せるものとは別です。だから今このサイトにあるのは、モデルケースと、自社サイトそのものです。

この状態で何ができるかを考えたときに出した結論は、**実績の代わりになるものを複数持っておく**ことでした。ひとつはこのブログのような一次情報。もうひとつは、仕事の進め方をそのまま公開すること。実績が語ってくれない分は、判断の中身を見せて補うしかないと思っています。

事例が出せないことは、弱点ではあります。ただ、それを隠して曖昧な言葉で埋めるより、出せない理由と代わりの材料を並べたほうが、結果的に話が早い。同じ状況の会社は多いはずなので、参考になれば幸いです。

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