先日、HubSpotのパートナー企業で働いている方と話していて、こう言われました。
「AIでHubSpotの構築を進めている事例、探しても記事があまり出てこないんですよね」
そのあと私がやっていることを話したら、「めっちゃ早いですね」と驚かれて、こう続きました。「正直、ノーコードのツールってAIとは相性が悪いイメージでした」と。
この「ノーコードだからAIと相性が悪い」という感覚、けっこう多くの人が持っていると思います。でも実際にやってみると、逆でした。今日はその話を書きます。
HubSpotは、管理画面でブロックを並べてページを作れます。コードを書かなくてもサイトが作れる。だから「ノーコードのツール」と呼ばれます。
ここから、こういう連想が生まれます。
ノーコード=画面をポチポチ操作するもの=AIにコードを書かせる余地がない
この連想が誤解のもとです。画面がノーコードであることと、裏側が閉じていることは、別の話だからです。
HubSpotには、外部から操作するための入り口(API)がかなり広く用意されています。ページ、ブログ、フォーム、顧客データ、自動化の設定、そしてサイトのソースコードそのものまで、外から読み書きできます。
つまり、画面から触ることもできるし、コードから触ることもできる。この二重構造になっています。そしてコードから触れるということは、AIに手伝ってもらえるということです。
抽象的な話だと伝わりにくいので、自社サイトで実際にやったことを3つ挙げます。
1. サイト全体のデザインを、一度に変えた。セクションの余白の取り方や色の使い方を見直したくなったとき、ページを1枚ずつ直すのではなく、テーマのスタイル定義をコードで書き換えて一括で反映しました。ページ数が増えても作業時間はほとんど変わりません。
2. ページの入稿を自動化した。原稿をもとに、下書きページを自動で組み立てるようにしました。見出し・本文・カード・料金表といった部品に流し込む形なので、レイアウトが崩れません。これは今このブログ記事を投稿している仕組みでもあります。
3. 全ページの文言を一括で直せるようにした。サービス名や表記の揺れを直すとき、対象のページを探して1つずつ直す作業がなくなりました。
どれも「AIがすごい」という話ではなく、外から触れる入り口があるから、繰り返し作業を機械に任せられるというだけの話です。
いいことばかり書くと嘘になるので、正直に書きます。実際に触ってみて「これはコードからは無理だった」というものもありました。
| やりたいこと | 結果 |
|---|---|
| ページの作成・更新・公開 | できる |
| テーマのCSS・テンプレートの編集 | できる |
| ブログ記事の投稿 | できる |
| フォームの新規作成 | できる |
| 画面で作った既存フォームの編集 | できない |
| ブログ一覧ページの編集 | できない(回避策あり) |
| ナビゲーションメニューの編集 | できない |
体感では、8割か9割はコードから触れて、残りは画面で作業する、というくらいの割合です。そして「できない」にぶつかったときは、たいてい別のやり方があります。たとえばブログ一覧は、専用の編集ページを使わずテンプレート側で組む設計にすれば、コードで管理できるようになりました。
ひとつは、ノーコードという言葉が「コードを書けない」と誤読されやすいことだと思います。実際は「コードを書かなくてもいい」であって、「書いてはいけない」ではありません。
もうひとつは、触っている人が黙っていることです。制作を仕事にしている立場からすると、作業時間が短くなったことは、あまり大きな声で言いたくない話でもあります。ここは正直なところだと思います。
この二重構造がいいのは、作る側と使う側で、別々の入り口を選べるところです。
作るときはコードから一気に組む。公開したあと、お客さま自身が文言を直したり、お知らせを追加したりするのは管理画面から。「更新しやすさ」と「制作の速さ」は、ふつうトレードオフになりがちですが、ここでは両立します。
だから私は、サイトを納品するときに「あとから自分で直せる状態」であることを条件にしています。速く作れることと、渡したあと触れることは、どちらも譲らなくていい。
「ノーコードだからAIと相性が悪い」は、画面の見た目から来る誤解でした。実際は、表口(管理画面)と裏口(API)の両方が開いていて、裏口を使えるかどうかで制作の速さが変わります。
そして今のところ、この裏口の話は日本語ではあまり出回っていません。だから書いています。踏んだ罠も含めて、これから記録として残していこうと思います。
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