「初期は70点で出す」を会議で合意しておく理由|コビトロジック

作成者: 角田和樹|Aug 17, 2026, 12:04:32 AM

最近、別々の案件で自分が同じ言葉を口にしていることに気づきました。

「まず70点で出しましょう」。

片方はLP制作の定例会議で、もう片方は別の制作現場で。しかも一度は、思いつきで言ったのではなく、会議の議題としてわざわざ合意まで取っています。プロジェクトの初期方針として「完成度で止めず、まず70点で出して改善する」と明言して、議事録に残しました。

スピードが大事、という話に聞こえるかもしれません。半分はそうです。でも本当の理由は別のところにあります。これは、あとで揉めないための合意の話です。

70点は品質の話ではなく、順番の話

BtoBのサイトやLPは、公開するまで何も教えてくれません。トラフィックが少ないので、データが溜まり始めるのは公開したあと。つまり、作り込みに使っている1ヶ月は、学びがゼロの1ヶ月です。

一方で、公開直前には必ず「まだここが気になる」が出ます。これは絶対に出ます。気になる箇所は、探せば無限に見つかるからです。そして「気になる」を全部つぶしてから出そうとすると、公開日はどこまでも逃げていく。

だから、順番を最初に決めておきます。プロジェクトの一番最初の会議で、「初期は70点で出して、公開後に上げていく」と口に出して、合意して、議事録に残す。それだけです。

「70点」の中身を、具体的に言うと

とはいえ、70点という言葉だけでは何も決まりません。実際の案件で──自分のサイトも含めて──公開時に後回しにしたのは、こういうものです。

  • 料金例。全パターンの料金表ではなく、代表的な2ケースだけ掲載して公開
  • お客様の声。ページごと無いまま公開(うちのサイトがまさにこれです。後回しリストに入っています)
  • スマホ用の画像。一部はPC版の流用でスタート
  • 多言語対応。方針だけ決めて、実装は後回し

逆に、これだけは70点に必ず含めます。削ると「出せない」になるラインです。

  • ファーストビューの一文。誰の、何のサービスかが3秒で分かること
  • 問い合わせフォームが実際に動くこと。送信できて、通知が届いて、自動返信が返ること
  • 計測。GA4とフォームの計測が公開初日から入っていること

つまり、うちの70点の定義はこうです。問い合わせが来たら受けられて、公開後の学びを計測できる状態。後回しにしていいのは見栄えと網羅性で、導線と計測は後回しにできない。ここを逆にした70点は、公開しても何も学べないので、ただの未完成です。

数ヶ月前の一行が、公開ボタンを押させてくれた

ある案件では、公開の最終判断をする場面で、未確定の要素がいくつか残っていました。普通ならここで「揃ってから公開しましょう」と延期になりがちな場面です。延期は一見誠実に見えるので、誰も反対しません。

でもこの案件では、初回の会議の「70点で出す」の合意を引用できました。いま残っている未確定は、想定外の欠陥ではなくて、予定通りの30点分です。そう言えるだけで、場の空気が「まだ出せない」から「予定通り出す」に変わる。数ヶ月前の議事録の一行が、公開ボタンの根拠になってくれました。

ひとつだけ補足すると、70点で出すのは、残りの30点を捨てることではありません。さっきの「後回しにしたもの」のリストを、議事録にセットで残します。このリストがないと、70点はただの妥協です。リストがあれば、それはそのまま公開後の改善計画になります。

「100点を目指さない勇気」みたいな、かっこいい話ではないんです。70点と口に出して、合意して、書き残す。それだけの段取りです。でもこの一手間が、公開直前の現場を守ってくれます。

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